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「チェンジリング」が実話であるという恐さ。

外を歩いていると、前後左右からストーブでガンガン暖められているのではないかと思うほど気温の上がった今日の関西です

今のマンションの部屋は、ありがたい事にベランダがやたら広いのと西日が全く入らない向きなので、午後になると結構快適な風が入ってきて涼しいのが救いだ
今年もTAYLORS&HARROGATEのアイスティーを作って、更に涼しく過ごす金曜日の午後。

実は3週間位前にDVDで見たのだけれど、どうしても感想がまとまらなかった映画がある。それが「チェンジリング」。アカデミー賞の頃も結構話題になっていた作品。

クリント・イーストウッド作品らしく、期待以上に良かった、というおなじみの感想はもちろんなのだが、頭に浮かぶのは映画への感想というよりも、実話であるこのカリフォルニア州のとある町で起こった事件のことになってしまって・・・。

主演のアンジェリーナ・ジョリーは、あのとっても特徴的な下唇が「私はアンジー」と主張こそしていたけれど、それ以外では本当に主人公のクリスティンそのものだった。
最初に映し出される90年前のロスアンジェルス近郊の街がとてもノスタルジックで、電話会社で働く女性達も皆その時代の服に身を包みあの事件さえ起こらなければ、このまま「三丁目の夕日~西海岸編」みたいな感じでその時代の人々の暮らしを映画にしてもいい位素敵だ。

映画の予告でさんざん目にしていた、クリスティンの行方不明になった息子がある日、全く別人となって(というか別の子が)駅で対面させられるシーン。本当に今でも背筋がぞくぞくする。どこかにすごいミステリーが潜んでいる、と最初は思うのだけれど、実際には警察組織の腐敗や、権力を持った人間たちによる嘘だらけの問題解決による辻褄あわせという事がわかってくる。

とにかくロス市警の警部や警察の言いなりで動いている精神病院の看護婦・医師達の顔が本当に恐い。特殊メイクなしでも夢に出てきそうなほど恐い顔なのは、やっぱりそれが真実だと知って観ているからなのだろうか

映画の最後に、生涯この実在の女性が息子を探し(待ち)続けた事や、街がこの事件によって名前まで変えたことが表示され、もうその時点でストーリー性がどうこうよりも、腐敗した警察組織の力で、市民はいとも簡単に人生を変えられちゃうんだ、と泣きそうな位恐くなる(しかもほんの90年前の話し)。

帰ってきてから、どうしてもこの実話についてもっと知りたくなり少し調べてしまった。
インターネットは本当に便利なツールで、あっという間にこのクリスティンという女性と息子の写真や別人の子を息子として押し付けられ、強引に新聞記者達に写真を撮られというその新聞記事、クリスティンがどのあたりに住んでいたか、なんて事を特集で伝えたアメリカの新聞を見る事ができてしまうんだから。

そして映画がかなり忠実に各シーンを再現していることがわかると、今度は映画の中に気持が引き戻されて、クリスティンの悲しみに、苦悩の表情に胸を打たれる。
「He is not my son~!!」と叫ぶアンジーが頭の中をぐるぐるする。

この作品をクリント・イーストウッドが作ってよかった、と思ったのは、いつものように静かに流れ続ける音楽をバックに、登場人物たちの悲劇も、少しの喜びもただ淡々と描くという手法が貫かれていたこと。謎が解き明かされた以降の終盤に、死刑のシーンや裁判のシーンをあえて長めに持ってきたのも、これは作り物のドラマなんかじゃないんです、という事が印象的に伝わり、やっぱりうまいなあ、と思う。

唯一「救い」のエッセンスとして3回だけ登場した電話会社の上司のおじさん(ちょっとお腹が出ている)がとっても希望の光に映った。特に印象的に存在するわけではないのだが、「どんな人間にだって、こんな風にひとりは寄り添ってくれる人がいる」と思えて、これもまたクリ監督なかなかやるじゃん、と唸ってしまうところなのだ。

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コメント

チェンジリング、参りましたね・・・
精神病院の医師や看護婦たち、そして警察官僚たちの驚くような傲慢さと横暴ぶりには、観ていて怒りしか覚えませんでした
そして、この事件の真相の恐ろしさ
これがフィクションでは無いということがショックです
見つかった少年のその後も気になるところですし・・・
イーストウッド&アンジー。最初はちょっと?と思った組み合わせだったのですが、見事な組み合わせでしたね
アンジーの美しい横顔がとても印象的でした
って、映画の印象が強すぎて、全くまとまらないコメントになってしまってすいません(汗)

投稿: acco | 2010年6月14日 (月) 13時31分

accoさん、こんにちわ!
本当に、この作品の感想を考えているとまたあの恐い看護士のおばちゃんや、精神科医が画面(カメラ)に向かって顔を近づけてくる恐怖を思い出してしまいますね
あまりにも善意の人が出てこないので、後半になるまで、あの牧師さんも弁護士も実は裏があるのでは・・なんて思いませんでしたか?あの牧師さん役はあの題名が有名な「マルコヴッチの穴」のマルコヴィッチだそうですね
恐ろしいけれど、見るべき映画だなあなんて思います。

投稿: ソックスモンキー | 2010年6月14日 (月) 18時34分

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