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「ひらがなにっき」のおばあちゃん

今日の関西ローカルの情報番組「アンカー」の中でぐっとくる特集があった。
それは大阪・富田林に住む吉田一子さんというおばあちゃんの事。
吉田一子さんをモデルとして絵本が出版されているというのだ。それが「ひらがなにっき」。

表紙にはご本人にそっくりな丸顔の優しそうな一子さんが学習ノートに「吉田一子・吉田一子」と名前の練習をしている様子が描かれている。

御歳85歳。彼女は60歳まで字の読み書きができなかったのだそうだ。
理由は家が貧かったこと、そして戦争。
一子さんのお母さんは小さい時に亡くなってしまい、7歳の頃小さい妹をおぶってお守りしていると、通りがかりの先生に「子供は学校こなきゃあかんよ」と言われたけれどお父ちゃんには言えなかった、という話しからも時代がしのばれる。
大人になり結婚してからも、字が読めないと恥をかくからと地域住民(自治会とかかな)の集まりでもいつも隅のほうで目立たないようにしていたそうだ。
銀行にいって、自分の口座からお金がおろせず悔しくて何度も銀行員に食い下がってしまったという話もされていた。

60歳になって富田林の識字学級というところに字を習いに行き始めたきっかけは、孫に付き添って病院にいったときに名前を書いてあげることができなかったから・・・なのだそうだ。

そして今や一子さんにとっては「しきじ(識字)」は「いのち」であり、「べんきょう」は「しあわせ」だと大きなきれいな文字で書き、先生と取材カメラに恥ずかしそうにみせてくれていた。
文字は素晴らしいものなのに、字が読めるようになって駅にいったら壁の落書きに書いてある言葉の意味がわかり、すごくショックだった、ととてもピュアなエピソードも話ししていらした。

私は落書きをするヤツを許せない、と思うことはあるけれど、文字をこんな意味に使うなんてショック、なんて思ったことはないから何だか目からウロコが落ちたような気さえしてしまった。

一子さんは決して「私は不幸」「私は苦労人」などと主張しないとても謙虚な女性のように見受けられる。
人はコンプレックスを隠して生きていく中で、悔しさや辛さを自分の内側に消化してく力を身につけるのだなあとつくづく思った。そしてとても強い人間になっていくのだというのが画面越しに伝わってきた。
識字の先生に対しても、褒めんといて、悪い事を言われたほうがまた次もがんばるから、などと言うのだが、本当は長い人生の中で人から面と向かって褒められるような甘ったるい状況に慣れていないから恥ずかしいのではないかなと思う。大変なことのほうがよっぽど多かった人生だったからなんじゃないだろうか。

そんな一子さんは今日、地元の高校生から戦争体験についてもインタビューを受けていた。いつも隅っこにいて人前で話すのを避けていた一子さんが10人弱の高校生の前で録音マイクも向けられ一生懸命自分の歴史を話していて、それを聞く高校生達も目を輝かせ一生懸命聞いていた。
小学校に行けないとか、大人なのに字が読めないとか、そんな時代の人がまだ元気に世の中にいること自体驚きなのだと思うけれど、もっと若い世代の人達にも知ってもらえたらいいのになと思う。

今週は原爆や終戦関連の特集番組も多く、近い歴史を振り返るいい機会なのだろうけれど、こんな風にひとりの普通の日本人の生き様を見せてもらうこともなかなか視点だなと思う。

NHKの「ETV」でも紹介されたという「ひらがなにっき」。絵本作家の長野ヒデコさんもとても素晴らしい方なのだそうだ。一度手にとってみよう。

ひらがなにっき (エルくらぶ) Book ひらがなにっき (エルくらぶ)

著者:若一の絵本制作実行委員会,長野 ヒデ子
販売元:解放出版社
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ああ

投稿: ああ | 2016年2月 3日 (水) 11時47分

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