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原爆も原発も。

今日は朝からちょっと遠くにある初めて行く映画館まで出かけた。
うちからは電車で50分位。
大阪ドームに割と近い下町の駅にあるその映画館は、さながら高田馬場の名画座の風情。
アングラ感溢れる半地下に降りていく小さい劇場だった。

どうしてそんなところまで出かけていったかというと、以前にも書いた広島・長崎の両方で被曝した山口彊(つとむ)さんのドキュメンタリー映画が上映されているのだ。

以前にも書いたけれど、報道ステーションで二重被曝者の山口さんが平和を訴える姿を見て、テレビでは放送しない言葉がもっとあるだろう、ドキュメンタリー映画が公開されたら必ず観よう、と思っていたのだった

2006年に記録映画「二重被曝」が製作され、そのフィルムと共に90歳で初めてパスポートを取ってニューヨークの国連本部に行き、平和を訴えた山口さんであるが、93歳で亡くなるまでの主に戦争・被曝の語り部としての活動を追ったのが今回の「二重被曝~語り部・山口彊の遺言」なのだそうだ。
ナレーションと、挿入歌を歌うのは加藤登紀子。挿入歌もそれ以外のBGMも全て「ダニーボーイ」で(色々な楽器で演奏されるのだ)、それが妙に心に残る。

ちょうど終戦記念日が近い時期に観たこともあって、自分でもより真剣に受け止めたような気がしたし、何より自主制作の色合いが強いので、テレビで観たのよりずっとリアルな言葉ばかり。
正直、ドク君(ベトナム戦争の枯葉剤被害児だった)の口から「枯葉剤を使ったアメリカを(いまでも)許さない」ときっぱりとした言葉が出たのも驚きだったし、アメリカ本土から長崎に研修旅行に来た高校生達が、山口さんの話しを聞いた時にどんなリアクションをしていたのかもテレビに比べるとずっとリアルに伝わってきた。

60歳を前に突然全身ガンに冒され亡くなった息子さんを想い、「二重被曝という特殊な体験を持った自分が、世界中の人に訴えるつもりで行動をしなければ世界は何も変わらないんだ」と決心した山口さんの行動力は、次々と人のつながりを生み出し「ひとりひとりが平和を訴えればきっと戦争は話し合いでやめられる」という希望が伝わってきた。

でもそんな山口さんが昨年1月に亡くなったあと、何か変わったかな、という小さい失望感も湧いてくる。

「私は貴方の意思のバトンを必ず引き継ぐ」と涙ぐんでいたジェームズ・キャメロン監督はその後どうしたんだろうか。

そして何より驚いたのは、ドキュメンタリーが終わり、エンドロールに製作スタッフの名が全て出終わったあとに、「もうひとつの遺言」という文字と共に付け足しのような映像が。

生前、まだ痩せ衰えてなかったので少なくとも3年以上は前だろう山口さんのインタビューで、原子力の安全利用について言及する場面だった。
「自分の経験からすると、いくら平和利用といってもやはり人間の力や技術では止められない位暴走するリスクがあるものなんです。爆発したりしたら人間では止められないんです。だから私はどうしてもそれをやめてほしいと訴え続けなければならないと思います。」
と、そんなような言葉だった。
うーん・・・重かった。
もっと耳を傾けるべきだったのか、それとも届くべきところに届いてなかったのか・・・。

そしてこういう映画に限って上映館も少なく、上映期間も短いんだよな(大体どこも19日まで)、と心から残念に思う帰り道なのであった

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