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『ヘルプ~心がつなぐストーリー~』

アメリカのアカデミー賞の時期には多少紹介されたけれど、受賞作品が日本で続々と公開され始めると『アーティスト』や『マーガレット・サッチャー』の影であまり宣伝されなかった感のある『ヘルプ~心がつなぐストーリー』。
4月の初めに観にいったのだけれど、客席も割とガラガラだった。
しかし2時間26分という上映時間もあっという間といえる位素晴らしい作品だった
舞台は1960年代のアメリカ南部・ミシシッピー州の白人達が住む高級住宅地。
その舞台で描かれるのは、ヘルプと呼ばれる黒人のメイドの女性たちと、その反対側にいる差別意識いっぱいの白人女性たち。
この映画の何が素晴らしいって、このヘルプを演じる女優さん達が誰もかれもがドキュメンタリー映画のようにリアルだということ。
外国の女優さんを見るのに白人とか黒人とか意識することは私自身はあまりないのだが、やはり一般的にはものすごくスタイルが良くて顔が小さく整っている人ばかりだもんね(ウーピーは別)
この映画に登場する人たちは見事に体型もお顔もとっても庶民的。
もちろんそればかりではないのだが、彼女達の表情や話し方、そして家事を行う所作は本当にその時代のメイドさんそのものみたいだ。

働きづめの生活の中にもささやかな息抜きを見つけ、雇い主宅の子供には仕事である事を越えて大きな愛情を注ぐ。

ヘルプの彼女達の立ち働く様子を見てると本当に素敵で、それが一層白人の若い女性達を「着飾ったニワトリ」みたいな感じに映し出すような感じもするのだ。

この映画の主題である「差別」は、白人達のあからさまな態度があらゆる場面で表現され、どんなに自分の娘に献身的に尽くしてくれるヘルプでも、自分のトイレは絶対使わせない。何故なら身分が違うから。何故なら絶対変な病気が移るから(もちろんうそ)。

真剣な顔をして「メイド用に外にトイレを作った方が転売時に高く売れる」なんて情報交換をしている。

都合が悪くなると、何かを盗んだといいがかりをつけてクビにするなど典型的エピソードも出てきながらも、正直日本人の私にとっては日常生活の中で実際どんな差別が行われてきたのか(いるのか)やはりわかっていなかったのだなあと感じた。

そんな中で光となるのは、ひとりは白人家庭の娘ながらもそういった差別に反感を持ち、育ての親とも言える自分のヘルプを大好きだった作家の卵・スキーター。

そしてもうひとりが、リッチな男性と身分違いの結婚をした同じ白人から仲間外れにされている下流階級出身のブロンド若妻シーリア。この子ベティーちゃんみたいですごくいい味出していた

差別をなくしたいと願っても決して口に出すことのできない環境の中で(報復されるから)、スキーターはペンの力を使ってヘルプがどんな扱いを受けているのかを世間に伝えたい、という。

一方でシーリアは、無邪気な程の平等な感覚で自分が雇ったヘルプを心から頼り、一緒に食卓につき、嬉しいときは抱きつく。

現実味のある設定だけに、この二人の起こす行動が簡単に黒人達の心を開かせるわけでもないし、白人たちが心を入れ替えるわけでもないのだが、脇役として登場する様々な人達が意外な後押しとなっていつしかヘルプたちとこの白人女性たちは心を心を通わせ、『ヘルプ』という彼女達の告白集は完成

欧米のリッチ層にありがちな「目の前の黒人には差別するけど遥か遠くに住む貧しい国の人には寄付をする』というような姿は本当にかっこ悪い人間の象徴で、そんな彼らが終盤しっぺ返しを受けるシーンは痛快というか、コメディのようなのだが、やはりただ仕返しをしてせいせいしました、というだけでは終わらない。

差別というのはたとえ映画だってそんなに簡単な問題ではないのだ。

エンディングのシーン、すごく良かったなー。これは女性の映画、本当にそうだなーと印象に残った。

1月頃観たフランス映画『サラの鍵』のユダヤ人問題もそうだけれど、私にはまだまだこういった知識が欠けているから、ドラマチックすぎない作品で未だアメリカ国内から消えていないであろう白人による人種差別の感覚を少し垣間見ることができたように思う。

そういえば、以前英会話の時に誰かから「アメリカ南部のどこかの州では『セサミストリート』がずいぶん長い事放映開始されなかったんですって。黒人と白人の子供が一緒に遊んだり学んだりする番組というのを嫌う白人達がいたから。」という話しを聞いて、ちょっとショックを受けたことを今になって思い出した。自由平等の国ってなんだろう。

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コメント

こんにちは!
ソックスモンキーさんの文章ってほんと素晴らしい
読みながら、様々な映画のシーンが浮かんできて、また映画を観た後の感動が押し寄せてきちゃいました
こちらでは、あまり観客動員が無かったせいか(私たちは初日に行ったにも関わらず、客席には20人いるかいないか・・・)上映時間も少なく、1ヵ月ほどで終了してしまいました
仕方ないのでしょうが、良い作品だっただけに、もっとたくさんの人に観てもらいたかったな~と、なんだか残念な気持ちになりますねー(余計なお世話ですが・笑)

投稿: acco | 2012年4月27日 (金) 12時00分

accoさん、やっと感想書けました
accoさんがいち早く見て感想を書いてくださったので、「私も早く見たい」と思っていましたが、確かにできばえの割に観客数が。。と残念に思います
大げさでなく感動的過ぎずに表現するのは難しいテーマなのでしょうが、すごく上手く皮肉ったり(チャリティーのところとか)笑わせたりというのが素晴らしいですよね
でもハリウッド女優さんってアカデミー賞の時にはあれだけ化けちゃうんですね~きれいでした

投稿: ソックスモンキー | 2012年5月 1日 (火) 11時29分

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: 株の銘柄選び | 2012年5月27日 (日) 14時43分

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